読書っていいな!(『名馬キャリコ』)

2019.06.16(9:08) カテゴリ:Essay

妻の実家にはたくさんの絵本があります。妻が子どもだった40年ほど前に、義理の父母が購入して読み聞かせていたものです。几帳面な義父は、それらの絵本を大切に保管してくださっていたおかげで、今、その絵本を孫にあたる娘に読み聞かせてあげることができています。

この『名馬キャリコ』もそのうちの一冊です。

作者は『ちいさいおうち』のバージニア・リー・バートン。素晴らしい作品を生み出した作家です。この『名馬キャリコ』も読み応えのある物語で、カウボーイであるハンクと相棒のキャリコの大活躍が描かれています。そして、悪の限りを尽くしてきた悪漢どもが、優しさにふれて回心する様子に、読者のこちらもなんとも優しい気持ちになります。

絵の表現も独特で、遠近感の表現の仕方や、静止画なのに動画のような動きに感じる不思議な表現など、バージニア・リー・バートンの豊かな表現力が素晴らしいです。

今や大人も好んで読まれる絵本ですが、やはり一番の対象読者は子どもと思います。『名馬キャリコ』にしても『ちいさいおうち』にしても、バージニア・リー・バートンの子どもたちに向けたメッセージが、素敵な物語に織り込まれて表現されています。

だいぶ昔の作品ですが、色褪せない優しい輝きをもった絵本と思います。