花一輪

2021.06.24(10:14) カテゴリ:Essay

我が家には猫の額ほどの庭があります。

小さな面積のその庭には色とりどりの花が咲いて、雪解けの季節には福寿草が、春先にはカタクリが綺麗な花を咲かせます。

6月の今時期は変わった形の薔薇のほか、私が名前を知らない草花が可憐で美しい花を咲かせて、目を楽しませてくれます。

東京時代、三鷹駅近くに住んでいた時、住んでいるアパートのすぐ近くに若いご夫婦が経営する小さなお花屋さんがあって、よく利用していました。

独り暮らしの素っ気ない部屋でしたが、花を一輪でも飾ると途端に華やかさが部屋に満ちるので、好んで花を飾っていました。「あの若いご夫婦は今でも元気でいるかなぁ」と、時々思っています。

最近妻が、我が家の小さな庭に咲いた花を手折って、部屋に飾ってくれるようになりました。

ひとつひとつの花の色やデザインの美しさにいつも不思議さを感じています。どうのような経緯でこのような美しい形に至ったのだろうか、と。

部屋に飾られた庭の花一輪から、懐かしい記憶を思い出したりしている私です。