女性の直感

2021.08.30(19:00) カテゴリ:Essay

今から10年以上も前の話。

結婚をして東京を離れて、郷里山梨県で新生活を始めた頃、妻が用事で東京に出掛けるので甲府駅まで送ったのですが、改札に続く階段を登っていく妻の後ろ姿を眺めていたら、背後から声をかけられました。

振り向くと見覚えはあるのだけど、誰だったか思い出せない女性が立っていました。

すぐに思い出せない私の様子を察してか、その女性から、

「美術館で働いていて、以前頻繁に私からのお願いで画集のコピーをとっていたスタッフです」

と説明されて、ハッと思い出しました。

美術館の図書室にある画集は持ち出し禁止で、コピーをとるのもスタッフにお願いしなければならず、足繁く図書室に通っていた時に必要箇所のコピーをよくお願いしていた女性でした。

「お久しぶりですね、元気にしてましたか?」

などと近況を報告すると、その女性は遠ざかる妻の後ろ姿を見つめて、突然、

「妊娠してますか?」

というのです。

全く予想外の言葉に驚いた私。妊娠しているかどうかなんて考えてもいなかったし、妻自身も自覚していなかったので、意外すぎる言葉にしどろもどろになってしまいました。

そして妻の姿は見えなくなり、その女性ともしばらく世間話をして別れたのですが、そのあとすぐに妻が妊娠していることがわかって、またもやビックリ。

どうしてあの女性には妻が妊娠していることがわかったのだろうか、不思議でなりません。

女性はこの世界に新しい生命を生み出す存在で、生命は「この世界の源」からやってくると思うので、見えない「何か」につながっていて、男性にはない「特殊な能力」を持っているのかも知れません。

どうして妊娠していると感じたのか、あの女性に確かめようがありませんが、女性の直感の鋭さを実感した出来事です。