ガソリンスタンド

2021.10.06(19:00) カテゴリ:Essay

先日、ガソリンスタンドでの嬉しい出来事をブログに書きましたが、ガソリンスタンドに立ち寄る際に決まって思い出すことがあります。

私の高校時代は体調が悪くて不登校気味な生徒で、しっかり勉強が出来ずにいました。

勉強はさほど出来る訳ではない生徒でしたが、勉強自体は嫌いではありませんでした。高校時代はやりたくても出来ないことがいっぱいで、やり残したことがたくさんある不本意な三年間と思っています。

二十歳で閉鎖病棟に入院して、数ヶ月後に退院したものの体調は優れず、デイケアに通うようになったのですが、担当の作業療法士の方から、NHKラジオ第2の英会話の語学番組を紹介されて、真面目に取り組み始めた私。

安上がりで楽しく、高校の授業よりも勉強になる実感があり、他の番組にも挑戦してみたくなり、NHKラジオ第2や教育テレビで学べる「高校講座」の「国語(現代文だったかな?)」と「英語1」も始めてみました。

わかりやすかったし、自分のペースで学べることが非常に良くて、楽しく勉強していたのですが、「国語(現代文?)」のテキストにあった鷺沢萌さんの「指」が、とても印象に残っています。

ガソリンスタンドで働く若者たちの物語でしたが、当時辛い状況にあった私と同じ年頃の若者たちが、この日本社会で健気に一生懸命働いている姿に心打たれましたし、自分に向けての励ましのメッセージのようにも感じていました。

私の心の中にある「指」。

あれから何十年も経った今でも、ガソリンスタンドに立ち寄った際、若者が対応してくださると、つい彼らの「指」を見つめてしまうのです。