『雨はコーラがのめない』文庫装画

10年ほど前の仕事ですが、新潮社から刊行された、江國香織さんの『雨はコーラがのめない』の文庫装画を担当させていただきました。

この頃は手描きのみで仕事をしていましたが、山梨県の山奥・昇仙峡で出会った謎の元修道女との出会いから、突如、フエルトに刺繍で制作を始めた頃の仕事です。猛烈な勢いで刺繍の作品を作り、1冊のファイルにまとめて新潮社装丁室に送った(と、記憶している)ら、すぐさまご依頼を受けて作った作品です。

昇仙峡のバス停で出会った元修道女と意気投合したところ、「今度、家に遊びにおいでよ」と誘われ、聞いてみると同じ村内(当時村人でした)にお住まいの方だったことが判明。帰宅後すぐにご自宅に伺ったところ、元修道女の母屋の裏に、私設の美術館である「マリア美術館」なるものがありました。中には、ところ狭しと元修道女が制作した作品が飾られていたのですが、多くは聖母子像を日本刺繍で制作した作品群で、そのころ絵を描くことに行き詰まりを感じていた私は、「絵の具で描くばかりでなくていいんだ!」とすごく気が楽になり、目先を変えて刺繍で絵を作り始めました。今思い返してみても、あの出会いは一体何だったんだろう?神様のお導きだったのだろうか・・。現在は、刺繍の制作はお休みしていますが、また機会があれば作ってみたいと思います。

あと、この仕事について一点申しあげたいことがあります。時々、新聞記者さんなどから取材を受けることがありますが、掲載記事で私のプロフィールとして「江國香織さんの本の装丁を担当・・」と書かれることがあります。正しくは「装画を担当」です。取材時に説明しているのですが「装丁」と「装画」を混同されている場合があるようです。この場を借りて訂正させていただきます。