真夜中の列車の走る音

2019.07.28(0:15) カテゴリ:Essay

私が中学生か高校生だった頃、深夜まで勉強をしていると、どこからか列車の走る音が聞こえてくることがたびたびありました。

カタン、カタン、カタン・・・カタン、カタン、カタン。

聞こえてくるたびに不思議で不思議で仕方がありませんでした。一体どこから聞こえてくるのかが全く分からなかったからです。

私の自宅から中央本線の線路までは相当な距離があって、そこから聞こえてくるのはまず考えられないからです。もし、中央本線を走る列車の音が聞こえてくるなら、他の時間帯でも聞こえてくるはずなのに、そういったことは一度もありません。しかも、そもそも運行する本数の少ない中央本線で、真夜中に走っている列車があるのかどうかも謎です。

山梨県の田舎に住んでいた私。20時を過ぎれば街灯以外は真っ暗闇で、行き交う人も本当に僅か。ごくたまに暴走車が爆音を立てて走り去るくらいで、シーンと静寂に包まれている中で聞こえてくる、真夜中の列車の走る音。今、思い返しても一体なんだったのだろう・・?

あの不思議な出来事から月日が経ち、40過ぎの大人になった私。

真夜中まで絵を描いていた一昨日、再び列車の走る音が聞こえてきました。何十年ぶりだろうか。

カタン、カタン、カタン・・・カタン、カタン、カタン・・・ヒュッ・・・カタン、カタン、カタン。

今回は昔に聞いた音よりだいぶ大きくて、「ヒュッ」という汽笛のような音もハッキリと聞こえてきました。

あくる朝、妻に列車の走る音が聞こえたことを話したら「やすしくんだけに聞こえているんじゃないのかな?」との返事。幻聴さんなのかしら・・?

真夜中に走る列車の音。恐怖は全くなく、ただただ不思議なのです。うーん。