向谷地生良さんの講演会

2017.11.16(10:43) カテゴリ:Essay

11月14日に旭川市で、浦河べてるの家での当事者研究で有名な向谷地生良さんの講演会がありました。

お話の冒頭で映し出された、鉄格子の嵌められた精神障害者の収容施設を観たとたん、私は涙がこぼれました。講演会は向谷地さんとべてるの家の当事者お二人によって進行しましたが、妄想さん・幻聴さんの楽しいお話もあって、優しい笑いのうちにアッという間に2時間が過ぎました。

お話を聞いていて思ったことは「心を病んでしまう人は、本当に健気で優しい人達なんだ」ということです。生き辛さを抱えてべてるの家に集まった彼らが、世界的な注目を浴び、現代の精神医療の最先端を走っていることも非常に興味深いことです。「仲間の力」「語る力」「研究する力」が、べてるの家での三本柱だそうですが、自著『福音ソフトボール 山梨ダルクの回復記』で取材させていただいた山梨ダルクのグループミーティングやNA、またミツイパブリッシングで連載中の安積遊歩さんのピアサポートに参加させていただいた経験から、それぞれ形は違うにせよ「心の回復」には、心から安心できる「仲間」と、自分の心の奥底に閉じ込めた想いを「語ること」が重要ではないかと思います。

登壇したお三方の様子を拝見していて、本当に楽しそうなのが印象的でした。心の病を抱えていても、こんなに明るく元気に生きていけるんだ、と。

現代の競争社会からはじき出され、傷つき心を病んでしまった彼らが、仲間と共にこの世界で新たな地平を切り拓いている姿に大いに元気をいただいた講演会となりました。