カオス味のおむすび

2020.04.23(13:23) カテゴリ:Essay

私は家族から「過剰系」と言われることが多いです。なんでも多目で、加えてしつこいそうです。

結婚して生活を共にする人が現れるまで、自分が「過剰系」であるとは思っていなかったのですが、言われてみればそうだと思い当たります。

料理をすれば油が多くて驚かれ、作る量も多くて家族に「食べきれない!」ビックリされます。それ以外の生活の至るところでも「適量」ができず、なんでもかんでも多目になってしまうのです。

なぜだろう?と考えてみると、生まれてからずっとよくわからない「不安」がつきまとっていて、適量だと「もし足りなくなってしまったら・・」という不安から、数でも量でもなんでも多目になってしまうことに気づきました。

年に数回、故郷の山梨に帰省するのですが、旭川に帰る日には羽田空港で食べるようにと実家の母親がおむすびを握って持たせてくれます。

羽田空港に到着し、荷物検査のゲートを通過し、搭乗口近くのロビーのベンチに座り、ほっと一息つくと空腹を覚えたので、母親が握ってくれたおむすびを食べようと包みを開くとビックリ!

「ひとつのおむすびに、梅、シャケ、昆布が入っている・・」

普通は「梅」「シャケ」「昆布」それぞれがひとつのおむすびであるはずなのですが、母親のおむすびはそれらが全部入っていました。しかも、それが三個。

「普通、梅、シャケ、昆布がそれぞれ一個づつで計三個だろう!」

思わずロビーで大笑いしてしまった私。混然一体となったカオス味のおむすびを頬張ってみると、意外や意外、とても美味しかったのです。

娘はこのカオス味のおむすびが大好きで、帰省するたびに実家の母親の握ったこのおむすびの配達を毎回私にお願いします。

三種の具材が混然一体となったおむすびを眺めてみて、私の過剰系は生来の不安もあるけれど、この母親の影響も大きいことを改めて認識しました。