長い旅路
2020.06.18(11:24) カテゴリ:Essay私が住む北海道は美味しい食べ物の宝庫で、陸のものや海のものに加えてチーズやソフトクリームなど乳製品を使用した加工品も豊富で、贅沢な土地と思っています。
長い冬を抜けて暖かくなってくると地物が店頭で売られはじめ、色とりどりの野菜を手に入れることができます。
我が家の料理担当は私なのですが、夏場は毎食大盛りのサラダを作ります。お肉やお魚はあまり食卓に上がらず、野菜中心のメニューが多い我が家。旬の野菜で作ったサラダをみんなでわしわしと食べます。
サラダといえば、数年前我が家でこんな出来事がありました。
スーパーでサニーレタスを買って数日冷蔵庫で保管したある日、そのサニーレタスでサラダを作ろうと包装のビニール袋を外すと、そこにサニーレタスにがっしりと掴まったアマガエルが一匹いて非常にビックリしました。寒い冷蔵庫の中に何日もいたので「死んでいないかな?」と、指でチョコンと触れると動き出したので死んではいなかったのです。
「たいそう寒かったでしょう。ごめんね。」
と言って、そのアマガエルを掌で包み、外に逃してあげました。
このアマガエルは、畑になっていたサニーレタスに掴まって休んでいたところを収穫され、農家さんの出荷用の箱に入れられてから加工場に運ばれ、市場を経てスーパーの店頭に並び、それを私が購入してから数日の間寒い冷蔵庫に押し込められたのちに発見されて、ようやく外に解放されたのです。
なんとも長い旅路です。
アマガエルにしたって、途中「俺、一体どうなるんだろう?」と不安だったと思うし、寒い冷蔵庫の中に何日もいた間だって「俺、死ぬかも」と思っていたに違いありません。時々テレビで「奇跡の生還」みたいな番組をやっていますが、アマガエル版のまさにそれです。解放されたアマガエルも、さぞホッとしたことでしょう。
サラダを作るときに思い出すエピソードです。