日本のポスター100

2021.05.20(17:00) カテゴリ:Essay

私が精神的に参ってしまい、20歳で入院し、退院後に偶然山梨県立図書館で出会ったポスター集の『日本のポスター100』。

1991年に発行されたこの本は、亀倉雄策さん、田中一光さん、永井一正さん、中村誠さん、福田繁雄さんの5人が、戦後に制作されたポスターの中から100点を選び、制作されたポスター集です。

この作品集の中の、特にイラストレーションを使用したポスターに心を奪われた私。

「カロン洋裁」や「秀彩会」の早川良雄さん、「ムックリを鳴らすアイヌ娘」の栗谷川健一さん、「かばわれた臆病者」や「淡交」の河野鷹思さん、「明治キャラメル」の大橋正さん、「ストラビィンスキー特別演奏会」の杉浦康平さん、「越路吹雪リサイタル」の宇野亜喜良さん、「TADANORI YOKOO」「A LA  MAISON DE M.CIVECAWA」「腰巻お仙」の横尾忠則さん、「エドワーズ」の伊坂芳太良さん、「ベトナムの子どもを支援する会のために」の和田誠さん、「MARIE」の灘本唯人さん、「エドワーズ」の長友啓典さんと黒田征太郎さん、「VICTORY 1945」や「HAPPY EARTHDAY」の福田繁雄さん、「TASTES OF FLAMINGO」の湯村輝彦さん、「THE END」の青葉益輝さん、「AMNESTY」の河村要助さん、「JAPAN」の永井一正さん、「WELCOME TO JAPAN」の仲條正義さん、などなど。

メッセージを端的に、そして強烈に表現するポスター作品の数々は、今観ても素晴らしいの一言で、戦後の日本のグラフィックデザインの水準の高さを感じずにはいられません。

20代半ばで上京した私は、幸運にも灘本唯人さんや宇野亜喜良さん、和田誠さんとお話できる機会に恵まれたことや、入選したコンペのザ・チョイス展のオープニングで長友啓典さんと一緒に写真を撮っていただいたこと、南青山のギャラリーでお洒落にジャージを着こなしている湯村輝彦さんを遠目で拝見したこと、展覧会をさせていただいたこともある渋谷区神宮前のペーターズ・ショップ&ギャラリーで伊坂芳太良さんの原画をたくさん鑑賞できたこと、など、このポスター集に出会い、知ることができた素晴らしいイラストレーターの皆様に実際にお会いできる機会に恵まれるとは、具合が悪かった20歳の頃には想像もできなかったことです。

このポスター集に収められている才能豊かなイラストレーターやグラフィックデザイナーの多くは、すでにこの世を去っていますが、素晴らしい作品を遺してくださったおかげで、後の世を生きている私たちに、今もなお感動と学びを与えてくださっています。

このポスター集からイラストレーターやグラフィックデザイナーの諸先輩方の情熱のほとばしりを感じると共に、人生のドツボ期に出会ったこのポスター集のおかげで、私の人生の進路が定まり、明るい方向に向かった訳で、一冊の本との出会いによって大きく変わる「人生の面白さ」を感じずにはいられません。