美術っていいな!(谷内六郎)

2022.08.17(21:00) カテゴリ:Essay

40も半ばに差し掛かって美術の学び直しを始めた私ですが、今回読んだ画集は「谷内六郎」さんです。

叙情的でシュールな作風の「谷内六郎」さん。以前、東京に住んでいた時に、某雑誌のアートディレクターの方が「三井くんの勉強になると思うよ」と言って、「谷内六郎」さんの画集を貸してくださったことがありました。

詩情あふれる明るく優しい作品もありますが、「死」と向き合うような深淵な作品もあり、「谷内六郎」さんが、この世界の多層的な交錯を見つめていたことを感じました。

「谷内六郎」さんは大正時代に生まれて、1980年代に亡くなりしましたが、あの独特の世界観は、戦前・戦後の東京のモダンな都市生活と、自然豊かなのんびりとした牧歌的な環境が重なったからこそ育まれたように感じましたし、自然豊かだった東京がその後急速に近代化し、高層ビルだらけになってしまった様子を「谷内六郎」さんはどのように眺めておられたのか、と少し気になりました。

現代の日本では失われてしまった、日本特有の叙情性をたたえる「谷内六郎」さんの作品は、観ていてホッとする、心の拠り所となる作品と思っています。