アーカイブ『多様性のレッスン』から「自分なんていないほうがいい?」
2020.12.22(10:00) カテゴリ:Publishingミツイパブリッシングではウェブ連載を毎月更新しています。
連載終了後に書籍化するのですが、刊行すると今まで読めていた全てのウェブ連載の中から、特に人気のあったものだけに絞るので、読めなくなってしまう連載もあります。(ごめんなさい!)
このたびミツイパブリッシングHPで今も読める過去のウェブ連載を、このブログで改めて紹介させていただきたいと思いました。
今回は『多様性のレッスン』から「自分なんていないほうがいい?」です。
*ウェブ連載時には「遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分が好き」になる相談室」でしたが、書籍化にあたり「多様性のレッスン」に改題しました。
子育て真っ最中の私ですが、娘を見ていて「今の子どもって、本当に大変だなぁ」と、可哀想な想いを抱いてしまいます。
「外国語」や「道徳」などが教科化され、テストに宿題に家庭学習。これに習い事などが加われば、子どもたちは休む時間もありません。6校時まで授業があれば、放課後友達と遊ぶ時間もとても僅かで、「これで本当に良いのだろうか?」と、今の学校教育に疑いをもってしまうのは私だけではないと思います。
とは言え、先生方も一生懸命子どもたちに向き合ってくれていますし、現場の先生方の頑張りや呻吟も聞こえてきて、現場で頑張ってくださる先生方を責めるつもりは毛頭ありません。
ただ、もう少し緩やかに学校生活を過ごし、子どもたちの多様な能力を引き出し、評価する仕組みになってくれたら、と思う私がいます。
教科の成績だけで評価をされると、自信を失う子どもたちを再生産し続けてしまいます。この世界は多様な能力を必要としていて、子どもたち一人一人にはそれぞれ「その子の能力」をもっていると私は思います。
「その子の能力」を認めて、励まし、伸ばすことが自己肯定感を育み、先の見えないこれからの世界を力強く生き抜ける人間に成長するのではないか、と感じています。
逆にこれがなかったら、自分に自信がもてず、「自分なんていないほうがいい?」と、自己否定感に苛まれる人間に成長してしまうのではないでしょうか。
大人ができることは、子どもに過度な期待をせず、子どものやりたいことを尊重し、のんびり穏やかに見守り、伴走する、ことでないかと私は思っています。
障がい者として生まれた遊歩さんと宇宙さんは、スタートラインからしてこの猛烈な競争社会からは除外されている存在と思います。だからこそお二人の視点は、この猛烈な競争社会を別の角度で見つめ直すのに必要であると思っています。
なかなか自己肯定感を育みにくい社会の中で、「自分なんていないほうがいい?」と、自信を失くし、自分を責めている人はきっと多いと思います。この質問にどのようなお答えをしたのでしょうか?
一人一人が自分自身に居心地の良さを感じて、穏やかに、それぞれの人生をその人のペースで歩んでいける社会になったらいいな、と思っています。
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